活動報告
【行政視察報告】大垣市に学ぶ避難所受付DXと中央区への導入提言

令和8年7月13日、岐阜県大垣市において「防災×DX(デジタルトランスフォーメーション)」に関する行政視察を行いました。
大垣市では、スタートアップ企業と自治体職員が協働して地域課題を解決する「Urban Innovation JAPAN(UIJ)」を活用し、先進的な防災デジタル施策を展開しています。
本報告では、避難所運営の最大のボトルネックである「受付業務」のデジタル化(大垣市システム:みんなの避難所)に焦点を当て、視察で得られた生の声と我が中央区への応用についてレポートします。
1. 大垣市の避難所受付支援システム「みんなの避難所」
大垣市が民間企業と共同開発した避難所受付支援システム「みんなの避難所」の概要は以下の通りです。
■システム概要:
避難所の受付をデジタル化し、避難者の基本情報や避難状況を瞬時にデータ化するシステム。
■受付方法:
マイナンバーカード、事前登録QRコード、身分証(免許証等)のOCR読み取り、口頭受付(職員入力)
■月額導入経費:
74,250円
■主な導入効果:
・受付時間の劇的短縮(従来の手書き122秒から、QRやマイナンバー受付では約24秒へ短縮)
・避難所ごとの混雑状況をリアルタイムで自動集計・可視化
1. 視察で得られた現場の「生の声」と重要トピックス
大垣市危機管理課の担当者様から直接伺った、実務に基づく極めて重要なポイントは以下の3点です。
・マイナンバー受付の圧倒的優位性
スマホ受付(事前登録QRコード)は便利ですが、住民に事前に専用アプリのインストールや登録を強いるハードルがあります。一方、マイナンバーカードによる受付は「アプリ不要」でカードを端末にかざすだけのため住民のウケが圧倒的に良く、大垣市でも今後はマイナンバー中心の避難所受付へとシフトする方針です。
・防災イベント参加向上のかぎは「子どもの体験」
防災訓練やイベントの参加率を上げるためには、子どもたちが自ら「体験して楽しい」と思える仕掛けが不可欠です。子どもが「行きたい」となれば親も必ず一緒に足を運ぶため、結果としてアプローチが難しい若いファミリー層全体の防災意識を底上げできるという、実体験に基づくお話を伺いました。
・在宅避難を見据えた「自動密封式トイレ」の必要性
視察では、バッテリー内蔵で「自動で排泄物を1回ずつ特殊な袋に密封し、熱圧着でパックを閉じる」簡易トイレの実機デモンストレーションを体験しました。手を使って袋を縛る必要が一切なく、ニオイも完全に遮断されるため、水洗トイレが使えなくなる災害時の衛生維持において極めて画期的かつ実用的な設備であることを確認しました。
1. 中央区における避難所DXへの応用と考察
大垣市の取り組みをベースに、高層マンションが林立し人口密度の高い我が中央区に必要とされる防災施策を考察・提言します。
・マイナンバーカードによる「ノンストップ避難所受付」の導入
中央区は発災時、限られた数の避難所へ一時に多数の住民が殺到することが予想されます。スマホアプリの導入が難しい高齢者層から、手間のない手続きを求める現役世代まで広く対応するため、大垣市のように「住民がアプリを入れなくてよいマイナンバーカードによる受付」を区内避難所のデファクトスタンダードにすべきです。これにより受付の大行列を完全に解消できます。
・「親子で学ぶ体験型防災アミューズメント」の展開
臨海部を中心に若い世代の流入が続く中央区において、従来の座学や消火訓練だけでは参加者が固定化します。子どもたちが主役となって楽しく防災を体験できる仕掛けを作ることで、親世代を巻き込んだ地域コミュニティ全体の防災訓練への参加率を向上させます。
・「自動密封式トイレ」のデモ体験による家庭内備蓄の促進
多くの区民が在宅避難を余儀なくされる中央区では、マンション配管破損時のトイレ対策が最重要課題です。平常時の防災イベントにおいて、今回視察した自動密封式簡易トイレの実機デモを積極的に実施し、住民自身にその衛生面での劇的な効果を体感してもらうことで、各家庭やマンション管理組合における自主備蓄を強力に後押しします。
今後に
大垣市の避難所受付システムは、最先端の技術を競うものではなく、「いかに住民の負担を減らし、いかに現場職員の作業を簡素化するか」という徹底した市民目線で構築されていました。
今回得られた知見を中央区の地域特性に落とし込み、誰一人取り残さない「災害に強い中央区」の実現に向けて、今後の政策提案に活かしてまいります。






